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執筆者の写真田口光彦

ポストコロナ時代を見据えてマネジャーのあり方を考える③

更新日:2021年10月23日

※内容はコロナ禍直前に『企業と人材』に投稿した内容の一部を編集しています。


●新しい時代に求められるマネジメントとは何か

 

世界のマネジャーの仕事は、「メンバーから最高の業績を引き出す」ことにある。[1]

マネジャーが第一に行うことは、メンバーとの関係の質を高めて、メンバーのモチベーションとエンゲージメントを高めることである。

第二にマネジャーが行うことは、組織のリソースの最適化を図るために、ポートフォリオ・マネジメントを実践することだ。


図1は、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する『成功の循環モデル』である。

チームは、関係の質の高まることで知の交換がなされ、その結果としてメンバーの思考の質が高まり、行動の質が高まり、自ずと結果の質が高まる、といった好循環が生まれる。


この成功の循環モデルの真ん中に「マネジャーの態度」を入れてみると、わかることがある。

マネジャーは好ましくない結果になると、メンバーの行動に目がいき、指示を出してしまう。

一時的にメンバーの行動が変わるが、考え方が変わっていなので、同じような状況になるとまた同じ行動をとり、またマネジャーから指示が出る。

これを繰り返すとメンバーにやらされ感が募り、主体性がなくなっていく。

“過去と他人は変えられない、変えることができるのは自分と未来”という心理学の有名な言葉があるが、マネジャーは与えられた指揮命令権を使って、変えることができない他人の領域を一生懸命に変えようとしていることがわかる。

四つの質のうち変えることができるのは、実は「関係の質」だけなのだ。 図1:成功の循環モデル



 











図2は、「Bとい状況の時にAという行動をとる、なぜならばCだからである」いう構図を表している。

Cは行動を選択した「判断基準」である。

第三者からみて許しがたい行動(言動)であっても、本人にとっては“正当な理由”である。

メンバーが「正しい」判断ができければ仕事も任せ、マネジャーはいちいち細かい指示を出す必要もなく、

ちなみに「正」の字は「一」と「止」の字でできている。

正しいとは“一線で止まる”ことを意味し、判断の境界線、適切な判断の範囲を表している。

マネジャーがメンバーとの関係の質を高め、メンバーが思考の質を高めて正しい判断ができるようにならば、エンパワーメントの実現につながる。


図2:ある状況で行動を規定するものは何か








[1] アメリカ西海岸の企業経営に最も影響を与えた書籍といわれる『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』アンドリュー・S・グローブ[著]小林薫[訳]日経BPより

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