人財育成プロ養成講座2019 受講者インタビュー特別編
更新日:2021年5月11日
2019年の人財育成プロ養成講座は昨年までとはカリキュラムを一新し「業績に貢献する人事のプロになる」というテーマで開催しました。
以下が全6回の内容です。
第1回 業績に貢献する人事とその機能
第2回 人事企画機能の強化(1)–これからの人事制度-
第3回 事企画機能の強化(2) –現場ニーズの研修設計-
第4回 職場の活性化サポート –組織開発の視点-
第5回 オペレーションの効率化 –業務効率化の基本とITの活用–
第6回 事業部のビジネスパート化への道
今年も何人かの受講者の方にインタビューをさせていただきましたが、特別インタビューとしてASKUL LOGIST株式会社の澤井祥江さんのお話を公開します。
対話の力を信じられるようになった
澤井さんは「事業を支える『人』が最も重要である」という考えで人事(育成)を担当されており、今回は「人材育成を社内で推進していけるようなスキルの向上」を目的にご参加いただきました。
目の前の問題解決から少し離れて高い視座を持つ
J(ジョイワークス):今回、半年を掛けて業績に貢献する人事について皆で考えたんですが、澤井さんはどんな感想をお持ちですか?
S(澤井さん):参加する前に聞いていた情報では「研修の企画を学ぶ」という問題解決に直結した内容という認識だったのですが、蓋を開けてみるとレベルが高く、追加資料も難易度が高い印象を受け、第1回目には軽いショックと混乱を受けました。「人事の機能をマトリクス化し、自分たちがやっていることをもっと高い視点で見ていきましょう」というのは目から鱗が落ちる感じでした。
このワークショップに数回参加して実際のワークを進めていき、参加者と話し合い、田口さんのフィードバックをもらう中で、今までの自分がしてきた企画が「改善」どまりの近視眼的なものだったことを感じ始めていました。
6回目(最終回)のグループワークで、ようやく学んできたこと全体とビジネスパートナーという言葉が腑に落ちたという感じです。
つまり、「『問題解決』とか『改善』をする部門が『人事』なのではなく、価値創造をするためのクリエイティブな企画をねっていくのが『これからの人事』である」ということが、この講座のテーマだったのかなと思っています。
最終回のワークの中で私のテーブルでは、人事の役目として「大事なのは愛」という言葉にたどり着いたんですが、1回目に参加したときの感覚ではそこにたどり着くのはありえないことだったんですよ(笑)
なぜなら、これって具体的な問題解決の答えにはなっていないから。でも、考え方として物事をどういう風に捉えていくのか設計するのが人事だし、設計したものを実現させていく働きかけを考えるのも人事。最初に働きかけをするのが人事だからこそ企画機能が大切なんだ、人事の役目は企画と思いを広めていくことなんだ、という視点に半年かけてたどり着きました。
振り返ってみると、この講座に参加する前の自分は「問題解決思考」になっていて「表面化しているこの事象を解決すれば状況は良くなるだろう」という視点だったんだということに気付かされました。
J:いい話だなぁ(笑)
異業種の人事担当との議論のなかで得たものは勇気
S:視座が高まったというか、物事の問題が多面的に見えるようになった気がします。
参加者の皆さんともすごく深い話ができたのが、それを作り出したということも言えると思います。
実は第1回目(業績に貢献する人事とその機能)と第4回目(組織開発)の内容が腹落ちできずにモヤモヤしてたんですけど、第6回目が終わって「ああ、そういうことか!」と納得感がわき、改めて組織開発に関して勉強したいなという気持ちになりました。
そのあと、社内で人事ポリシーをつくりあげるワークを行ったんですが、初めて上司と本音の話し合いをすることができました。
S:事前課題で様々な問題の原因として考えられることを「人事の力不足」と書きました。それは「スキル」とか「トレンド把握」の意味だったんですけど、今だったら、「価値観」「マインド」「ビジョン」を共有できていないことが根本的な問題で、そもそも人事が「人を信じ」「愛」を大事にできていないことが原因だ、と書くと思います。
J:澤井さんの場合は、他社の人事の方と意見交換をする機会ってそこそこあると思うんですけど、この人財育成プロでの他社の方との意見交換ってどんな感じでした?
S:そうですね、これまで参加した勉強会の中では参加している方のレベルが一番高いし、話している内容も一番ディープだったと思います。
一般的な勉強会だと、どうしても自社でやってきたことや業界事情を前提にして議論が始まるので、みなさんなかなか本音で話せない部分があると思います。抽象的で綺麗な答えにまとめて終わり、ということが多いように感じます。
J:なんで人財育成プロだとそこから一歩踏み入った対話ができるんでしょうね?
S:おそらく、田口さんのファシリテートがすごくフラットで、そして鋭いところをついて来るからだと思います。
他の勉強会だとあそこまでダメ出しをしてくるファシリテートはあんまりない気がしました(笑)
J:田口さんのフィードバックはチームのアウトプットに対して行われていて、個人に対してではないので良い議論につながるんでしょうね。
S:はい、そのおかげで愚痴の言い合いではない、深い対話ができたんだと思います。
J:そのほか、他社の人事の方と意見交換をして何か参考になったこと、気づいたことはありますか?
S:まず、他社の具体的な取り組みを聞くことができたのが参考になりました。
特に大手の小売業の方がいらっしゃったのですが、日々忙しい、そして人手不足の小売業界でとても画期的な取り組みをしていて、業態こそ違えど弊社も問題としては似たようなものを抱えているので、すごく勇気をいただくことができました。
人財育成プロ養成講座がきっかけとなった社内の変化
J:人財育成プロを経験するなか、宿題として社内ヒアリングを行っていただきましたがなにか変化がありましたか?
S:いままでも社内ヒアリングは行ってきたんですが、人財育成プロを経験したことで質が変わってきたと思います。
いままでは、どちらかというとコンサル的な、問題を分析しなきゃというようなスタンスだったのですが、いまはそうではなく、目の前の人が抱える問題を一緒に考えるようなスタンスになっていると思います。対話の目的が問題の解決策を探ることから、問題と思っている本質を共有することに変わったというか。
いままでの私は対話の可能性を信じきれていなかった。だから対話の力で物事を解決するということに覚悟ができていなかったと思うんですが、人財育成プロの過程で深い対話を経験したことで、対話の力を信じることができるようになったと思います。
それによって社内ヒアリングの質も変わったし、人事内でのディスカッションも今までとは比べ物にならないくらい本音でものを言えるようになってきました。
J:何がきっかけでその変化は起きたんでしょうね?
S;人財育成プロのワークショップの回数を重ねていくたび、「こんなふうに、知らない会社の人が集まって深い話ができるんだったら、自社でそれができないはずはない」と思うようになって、実際に取り組んでみたら意外とできちゃった。
社内の人事ワークショップでジョイワークスさんにファシリテーションで入ってもらい、人事メンバー同士の真剣な対話ができたこともとても良いきっかけになりました。
J:人財育成プロを終えて、いま改めて自社の(人事の)問題、課題を明確にしてみると、どういうことだと思いますか?
S:まず、対話ができるようになったこと、そしてジョイワークスさんにファシリテーションで入ってもらって人事のパーパスである「人事ポリシー」を作ったこと、これは非常に大きな一歩だったと確信しています。今の課題は「価値観」「マインド」「ビジョン」を共有し、「人を大切にする」会社に変革していくため、ビジネスパートナーとして具体策を企画し実行していくことだと思います。
人事が業績に貢献していくことは皆で認識しているので、きちんと対話しながらチームとしての企画力を高めていくことでプロ化を進めていけると思います。
J:個人として取り組んでいきたいことはなんですか?
S:弊社は拠点がたくさんありますが、拠点には人事機能がないというか、あってもオペレーション業務で手一杯なんです。
今の状況でその人達にビジネスパートナーとしてプロ化するんだといっても酷なことだし、現実的ではない。
でも今回私達が経験したように、視座を高めて、対話をすすめることがその問題を解決するきっかけになると思っています。
すごく難しい問題ですが、拠点のバックオフィスの役割をもう一度考えることで、大きな変化に繋がる可能性はあるので、本社の取り組みとして働きかけていきたいと思っています。根拠はないけど自信が高まったというか、未来展望が明るくなりました。「大事なのは愛」って結論づけちゃった以上、やらない理由を環境や他人に求めるわけにはいかないし、私がどれだけ相手を信頼できるか、信頼に足る存在になるか、が今後の課題だと思っています。
J:最後の質問です。ジョイワークスへの今後の期待がありましたらお聞かせください。
S:この人財育成プロも、それから先日の、「ATD報告会」や、「『実務者が語るマネジメントの仕事』のホンネ」もそうですが、いつもきちんと持って帰れるものがある質の高いイベントを開催していただいているので、今後も学びの機会を設け続けていただきたいです。そしてせっかくなので学んだことを継続して、さらに深く学び直す機会も作ってくださると嬉しいです。
J:長い時間ありがとうございました。良いお話が聞けました。
今後もご活躍を期待しています。
S:ありがとうございました。
事務局より:
2020年度人財育成プロ養成講座は近日中に応募開始の予定です。
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